この記事は、ブルームバーグのサステナブル・ファイナンス・ソリューションズのビジネスマネジャーで、欧州委員会のサステナブル・ファイナンス・プラットフォーム委員でもあるNadia Humphreysが執筆しました。
サステナブルファイナンス規制が効果的かつ達成可能であるためには、実践的な利便性を備えていなければなりません。つまり、企業や銀行、投資会社がその意思決定と報告プロセスにおいて効率的に要件を満たすことができるような規制でなくてはいけません。その結果として、市場に透明性と信頼性の高いESGデータが浸透することになるのです。
欧州委員会サステナブル・ファイナンス・プラットフォームの「データおよびユーザビリティー」サブグループは昨日発行のリポートで、EUタクソノミーの第1段階実施状況を振り返るとともに、ユーザビリティーを強化し、EUのESG規制の整合性を改善するための提言を行いました。このリポートにはプラットフォームのメンバーだけでなく、業界団体や市場参加者も含め、市場全体からの意見が幅広く反映されています。
同リポートによると、EUタクソノミーの履行状況は全体的に順調に進んでいます。非財務情報開示指令(NFRD)の対象となる1956社のうち、タクソノミー適格性に関連するデータを発表している企業は1053社で、タクソノミー適合性の報告はまだ義務付けられていないにもかかわらず、同適合性に関する現状報告を行った企業も534社ありました(適合性をゼロと報告した企業も含みます)。更にブルームバーグのデータは、サステナブル投資商品の需要が増え続けていることも示しています。特に、第8条と第9条に分類されるETF(上場投資信託)が活況を呈し、年初来欧州ETFファンドへの資金流入の60%近くを占めていることがそれを如実に物語っています。