大きな違いがある場合は、ポリシー・ポートフォリオにおけるコモディティの役割の再評価が必要になる可能性があります。
投資家が持続可能な開発を考慮すべき理由
持続可能な開発とは、広義には、天然資源の枯渇や劣化に配慮した経済開発計画と定義されます。 温室効果ガス(GHG)排出量、水使用量、生物多様性などは、天然資源の枯渇を示す尺度として比較的多くの実務家が挙げているものです。 これとGHG排出量は気候変動の影響を評価する際の重要な入力情報の一つであり、GHG排出量は自ずとポートフォリオを評価する際の出発点となります。
株式や債券のポートフォリオとは異なり、コモディティ投資家は取引所でのデリバティブ商品を通じて投資する傾向があります。 先物を保有することが現物市場の需要・供給に直接影響せず、特定コモディティのデリバティブ取引量が現物の出来高の倍数であるならば、なぜ金融投資家は原資産のGHG排出量を気にする必要があるのでしょうか?
重要な理由は2つあります。 第一の理由は、デリバティブのリターンには、対象となる現物資産価格の変動が反映されるということです。コモディティがなければ、コモディティ先物のリターンはありえません。幅広い資産で構成されるベンチマークのリターン特性のエクスポージャーを得るためには、そのコモディティの現物が生産される必要があります。 それがひいては生産プロセスからのGHG排出につながるのです。第二の理由は、コモディティ生産者と消費者の価格感度が異なり、生産者は一般的に価格感度が比較的高いということです(これをそれぞれ「需要・供給の価格弾力性」と呼びます)。 その結果、価格下落時には、同等の価格上昇時に需要が減る度合いよりも、供給の減る度合いの方が大きくなる傾向があります。