気候変動に関する株主提案が減少-環境団体や規制当局の出番か
本稿は、ブルームバーグ・インテリジェンスESGアナリストAndrius Tilvikasと、ESGリサーチEMEA・APAC地域担当ディレクターAdeline Diabが共同で執筆しました。ブルームバーグ ターミナルに最初に掲載されました。
企業が気候変動への取り組みや戦略⽅針などの是非を株主に問う「セイ・オン・クライメート(Say-on-Climate)」は、今年の年次株主総会シーズン以降に提案数が31%減少している上、株主による決議が必須ではありません。また、企業の気候変動対策に関する株主総会の議題も減少しています。これらを背景に、環境団体と規制当局による介入が始まりつつあります。フランスがセイ・オン・クライメートに関する株主投票を義務化したことや、オーストラリアの炭素クレジットに関する法の改定を受けて英豪鉱山会社リオ・ティントが12億ドルを減損処理せざるを得なくなったことなどからは、世界の企業に対する投資による潜在的影響が分かります。
企業による「セイ・オン・クライメート」提案が31%減少
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の分析によると、欧州では投資家の監視の目が弱まりつつあることから、今年の企業経営陣によるセイ・オン・クライメートに関する株主への提案は31%減少して20件となりました。そのうち、株主に却下された提案は皆無で、承認率は2022年に減少した後に再び上昇しています。目立った例外としてはスイスの資源商社グレンコアがあり、同社の承認率は2021年に比べて25%以上減少し69.7%となりました。