発行額が特に増えているのが欧州で、グリーンボンド市場最大の引受業者、BNPパリバによれば、欧州のグリーンボンド発行額は昨年の発行額を33%上回るペースで増えています。これは、気候変動に配慮したグリーンボンド発行額が、同行の年末の予想発行額6000億ドルに今までになく近づいていることを意味します。
また、BNPで米州のサステナブル金融資本市場部門を統括するAnne van Riel氏は、米国のインフレ抑制法によって多額の投資が誘発されたと考えています。そうした投資資金の一部は公社債市場から調達されることになります。
投資家にとって、環境的に持続可能な経済活動の分類枠組みを提供する欧州連合(EU)のタクソノミーも、けん引要因です。
van Riel氏は、「ラベル付けされた銘柄に対する欧州投資家からの需要が急増しています。グリーンラベルの付いた銘柄をESGファンドに組み入れることができますし、ESGファンドの内容は今まで以上に明確になっているためです」と述べた上で、「発行体はその需要を満たすためにグリーンラベルの付いた債券を発行しています」と付け加えています。
さらに年初来、グリーンボンド、サステナブルボンド、ソーシャルボンド、SLB(サステナビリティ・リンク・ボンド)の発行件数は21年の最高記録を更新しています。ブルームバーグがまとめたデータによると、今年1ー9月の累計発行件数は2599件、累計発行額は7299億ドルに達しています。ESG債の最大の発行体は世界銀行グループです。