絶え間なく進化する金融業界において、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資は単なる流行語ではなく、投資戦略に影響を及ぼす力です。企業のパフォーマンスを評価するために、従来の財務指標にとらわれない視点を持つことの重要性は、どれだけ誇張してもしすぎることはありません。以前のブログ記事「ESGバックテスト:ESGのリスク管理アプローチ」では、企業のパフォーマンス評価とリスク管理において、ESGスコアが果たす基礎的役割について探求しました。
これらの基礎の上に立ち、続編となる本稿では、ESGスコアと市場パフォーマンスの相関関係をセクター別、地域別に深く掘り下げます。特に米欧の市場がESG課題と各構成要素をどのように評価しているかを時系列で業種別に分析します。これらの詳細を精査することで、広範な市場でみられる一般的な傾向を超えた独自の洞察を投資家に提供したいと考えています。
異なるセクターと地域におけるESGスコア
ブルームバーグのESGスコアでは、特定のセクターで事業展開する企業の、財務的に重要な環境・社会・ガバナンスのデータポイントを調査しています。本稿では、ブルームバーグのESGスコアのパーセンタイル(「スコアパーセンタイル」)を活用します。パーセンタイルは0から100の範囲に正規化され、0は悪い、100は良いを示します。同業グループのESGスコアと各企業のESGパフォーマンスの総計に基づきパーセンタイルは算出されます。