LIBOR移行の工程は国・地域により異なっています。新型コロナウイルス感染拡大によりLIBOR移行という劇的な変化への市場の準備が遅れているのではとの懸念に対応して、世界的なLIBOR運営機関は2020年末に、一部の米ドルLIBORの廃止期限を2023年6月末まで延期することに関して市中協議を行うと発表しました。
一方シンガポールでは、SORからシンガポール翌日物金利平均(SORA)への移行が他地域より早く進んでいます。2020年8月にはMASがSORAにリンクした変動利付債の入札を行い、代替ベンチマークにリンクした債券発行国の1番手グループに名を連ねました。
ブルームバーグ インテリジェンスでASEAN為替・金利ストラテジストを務めるPhilip McNicholasは、シンガポールにおいてはこれまで国内の銀行間調達市場があまり使われてこなかったため、代替ベンチマークへの移行に関してはまだ幾つかの課題が残っていると述べています。
しかし、SORAは翌日物貸出金利の実績値の平均に基づいているため、銀行間貸出市場の厚みと流動性が増し、価格発見機能の向上および効率化が期待されます。
シンガポール銀行協会の広報担当者は、運営委員会のサブグループ(ビジネス・協調融資、消費者プロダクト)に参加している銀行は移行に向けて予定通り作業を続けていると述べました。
MASも、SORAへの移行作業は順調に進捗していると述べています。